誤薬は「注意力」ではなく「構造」で防げる
― ヒューマンエラーは、個人の問題ではない ―
誤薬は、「気をつければ防げる」ものではありません。防げるかどうかは、最初から"構造で決まっている"のです。
スイスチーズ・モデルは、心理学者 ジェームズ・リーズンが提唱した、医療安全・航空安全の世界標準理論です。
この理論の核心は、非常に明快です。
事故は、1つのミスで起きるのではない。
複数の防御層にある"穴"が、偶然一直線に並んだときに起きる。
ここで重要なのは、「穴」は必ず存在する、という前提です。
(顕在エラー)
多くの事故報告は、ここで止まります。
(潜在的欠陥)
👉 本当に危険なのは、こちらです。
スイスチーズ・モデルは、個人ではなく"システム"を見よと教えています。
多くの薬局で、事故後にこう言われます。
「もっと注意すればよかった」
「確認を徹底しよう」
「次から気をつけよう」
しかし、これは再発防止ではありません。
理由は単純です。
👉 注意力は、忙しさ・疲労・時間帯で必ず低下するからです。
スイスチーズ・モデルを薬局業務に翻訳すると「多重防御」になります。
👉 人に頼る防御は、最後の層に置く。
ここで重要な視点があります。
待ち時間が長くなるほど、患者の集中力は落ちる。
つまり、
待ち時間増加 → 投薬時の聞き漏らし → 新しい"穴"が生まれる
👉 安全と効率はトレードオフではない。リトルの法則やTOCとセットで考える必要があります。
スイスチーズ・モデルでは、事故件数だけを見ません。
👉 上流で止まるほど、防御構造は健全。
明日やることは、1つで十分です。
投薬時に「復唱」を必須にする。
これは、
コストゼロ
教育不要
即日導入可能
で、防御層を1枚増やせます。