Flow Efficiency

忙しいのに成果が出ない薬局の正体

― 生産性を壊しているのは「待ち」だった ―

結論

多くの調剤薬局では、人はずっと忙しいのに、患者はずっと待っています。その原因は「能力不足」ではなく、待ち時間(滞留)の設計ミスです。

理論の解説|フロー効率とは何か

フロー効率(Flow Efficiency)とは、

付加価値時間 ÷ 全リードタイム

で表される指標です。

付加価値時間

薬を作る、鑑査する、投薬説明する時間

リードタイム

受付から薬を受け取るまでの全時間(=待ちを含む)

驚く事実があります。

多くの現場で、付加価値時間は全体の5〜10%しかない

残りの90%以上は、「次の工程待ち」「置かれているだけの時間」です。

なぜ「人を増やしても」楽にならないのか

フロー効率の視点がない改善は、こうなります。

よくある改善

  • 人を増やす
  • 調剤スピードを上げる
  • 処理量を増やす

すると一時的に人は忙しくなります。

しかし...

  • WIP(仕掛品)が増える
  • 待ちが増える
  • 鑑査・投薬に負荷集中
  • ミスリスク上昇

👉 全体のリードタイムは、むしろ伸びる

これが「改善しているのに現場が楽にならない」理由です。

調剤薬局での翻訳|フロー効率の正体

薬局の1処方箋を例にします。

調剤・鑑査・投薬:合計
10分
実際の受け取りまで
60分

このときのフロー効率は、

10 ÷ 60 = 約17%

つまり、83%は"何も起きていない時間"です。

この83%を減らすことが、最もコスパの良い改善になります。

フロー効率を壊す3つの典型行動

「作れるときに作る」

調剤を先行→ 次工程が詰まり、棚待ちが増える

「重い処方を後回し」

一包化を最後に→ WIPの塊ができ、全体停止

「全員を忙しくする」

空いている人に仕事を振る→ 制約工程が埋もれる

👉 忙しさが増えるほど、フローは悪化します。

フロー効率を上げると、何が起きるか

フロー効率改善は、数字以上の効果があります。

待ち時間短縮

現場ストレス低下

投薬時の集中力回復

誤薬リスク低下

患者満足度向上

👉 安全・効率・体験が同時に改善します。

TOC・DBRとの関係

フロー効率は、TOC(制約理論)と完全に同じ思想圏です。

TOC

制約を見つける

DBR

入れすぎを止める

フロー効率

待ちを減らす

👉 フロー効率は、「TOCが正しく機能しているか」を測る体温計です。

KPI|フロー効率を測る指標

難しい数式は不要です。

受付〜投薬までの平均リードタイム

実作業時間(目安でOK)

フロー効率(%)

工程間の滞留時間(どこで止まっているか)

これだけで、「どこを触るべきか」が見えます。

明日の一手|最初の改善ポイント

明日やることは1つ。

👉 「処方箋が"何分待っているだけか"を観察する」

  • どこで止まっているか
  • なぜ次に流れないか

ここを見始めた瞬間、改善の順番が逆転します。

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