DBR(ドラム・バッファ・ロープ)

薬局が楽になるのは「頑張る量」を減らしたとき

流していい量は、最初から決まっている

結論

薬局が混乱する本当の原因は、「処理できない量まで仕事を流していること」です。DBRは、流す量を最初から制御するための実践理論です。

理論の解説|DBRとは何か

DBR(Drum–Buffer–Rope)は、エリヤフ・ゴールドラット が提唱したTOC(制約理論)を現場で動かすための実装技術です。

TOCが

「全体は制約で決まる」という思想だとすれば、

DBRは

「じゃあ、どう動かす?」に答える運用ルールです。

DBRの3要素を一気に理解する

① ドラム(Drum)=制約のリズム

ドラムとは、制約工程が処理できる最大のペースです。

調剤薬局では、ほぼ確実にここです。

  • 最終鑑査に立てる薬剤師
  • 投薬対応できる人数・スペース

この処理能力が、薬局全体の上限になります。

② バッファ(Buffer)=余裕のクッション

バッファとは、制約の直前に置く適量の仕掛品(WIP)です。

多すぎる →

混乱・待ち時間・ミス増加

少なすぎる →

制約が空転(もったいない)

「ちょうどいい待ち」を意図的に作ります。

③ ロープ(Rope)=投入制御

ロープとは、仕事を入れていいタイミングを縛るルールです。

ここが最重要。

  • 混んでいても受付を止めない
  • 重い処方を次々投入する

これはすべて👉 ロープが切れている状態です。

ロープが、全体を守る最後の砦です。

調剤薬局でDBRを翻訳するとこうなる

DBR用語薬局での意味
ドラム鑑査・投薬の処理能力
バッファ鑑査前の適正WIP
ロープ受付制限・投入ルール

現場でよくある「DBRがない薬局」

こんな光景、ありませんか?

1

受付はどんどん受ける

2

調剤は全力で作る

3

鑑査が詰まる

4

投薬が遅れる

5

待合が荒れる

6

ミスリスクが急上昇

誰もサボっていないのに、全体が崩れる。

原因は一つ。ロープがない。

DBRを入れると、現場はこう変わる

ドラムを基準にする

「鑑査が1時間に◯枚処理できる」→ それ以上は流さない

バッファを決める

鑑査前のWIPは→ 常に◯枚を目安に維持

ロープを張る

WIPが◯枚を超えたら

  • 新規受付を一時止める
  • 一包化・施設処方の新規投入を止める
  • 調剤側は"作らない"選択をする

入れない判断が、全体を守る。

「止める=悪」ではない

多くの薬局で、

  • 受付を止める
  • 処方を待ってもらう

ことに強い抵抗があります。

しかしDBRでは、これは正反対。

止めないことが、最大の事故要因

WIP過多
投薬集中力低下
聞き漏らし
誤薬

DBRは、安全管理そのものです。

KPI|DBRで見る数字はこれだけ

複雑な指標はいりません。

制約工程の処理能力

枚/時

制約前WIP

枚数

ロープ発動回数

止めた回数

この3つで、「今日はなぜ荒れたか」が説明できます。

PharmaBeast的に

(ピーク時)平均して鑑査・投薬を6~12分で対応すれば、1時間に5~10人は対応可能(1人の薬剤師)

※診療科や処方内容にもよります。

※薬歴は後回し

明日の一手|DBRの第一歩

明日やることは、これだけ。

「鑑査前WIPが◯枚を超えたら止める」というルールを1つ決める。

紙1枚、ホワイトボード1行で十分です。

それだけで、

待ち時間
現場ストレス
ミスリスク

が、同時に下がり始めます。

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