Ⅳ.リーダー(薬局長・管理職)の役割

タスク管理者から相互作用の設計者へ

リーダーの本質的役割

タスク管理者

指示を出し、進捗を管理し、評価する

  • 細かく指示を出す
  • 進捗を常に監視する
  • 問題を自分で解決する
  • 完璧を求める
  • メンバーを評価する

相互作用の設計者

メンバー同士が協力し、学び合える環境をつくる

  • 役割と責任を明確にする
  • 心理的安全性を高める
  • メンバーの自律性を尊重する
  • 学習の機会をつくる
  • 相互作用を促進する

5つの具体的行動

1

自分の不完全さを認める(脆弱性の開示)

「分からない」「間違えた」「助けてほしい」をリーダー自身が言う

なぜ重要か

リーダーが完璧を装うと、メンバーも弱みを見せられなくなる。リーダーが脆弱性を開示することで、メンバーも安心して本音を話せるようになる。

実践方法

  • ミーティングで「私も分からないので、一緒に考えたい」と言う
  • 自分のミスを隠さずに共有する
  • メンバーに助けを求める
  • 「完璧なリーダー」を演じない

具体的な言葉の例

“「この患者さんの対応、私も悩んでいます。みんなの意見を聞かせてください」”

“「昨日、処方内容の確認を忘れてしまいました。今後どうすれば防げるか、一緒に考えてもらえますか」”

“「在宅訪問の件、私一人では判断できません。〇〇さん、相談に乗ってもらえますか」”

2

仕事を「学習の場」と定義する

失敗を責めるのではなく、「何を学べるか」に焦点を当てる

なぜ重要か

仕事を「評価の場」と捉えると、メンバーは失敗を恐れて挑戦しなくなる。「学習の場」と定義することで、失敗から学ぶ文化が生まれる。

実践方法

  • ヒヤリハットを「改善のチャンス」として扱う
  • 「なぜ起きたか」ではなく「どうすれば防げるか」を考える
  • 個人の責任追及ではなく、システム改善に焦点を当てる
  • 失敗から学んだことを共有する

具体的な言葉の例

“「このミスから何を学べるか、みんなで考えましょう」”

“「誰が悪いかではなく、どうすれば防げるかを話し合いたいです」”

“「今回の経験を次に活かすために、何ができるでしょうか」”

3

会話の偏り(発言者固定)を是正する

特定の人だけが話す状況を避け、全員が発言できる場をつくる

なぜ重要か

一部の人だけが発言する状況では、多様な視点が失われ、チームの知恵が活かされない。全員が発言できる場をつくることで、チーム全体の知恵を引き出せる。

実践方法

  • ミーティングで発言していない人に意見を求める
  • 「他の人の意見も聞きたい」と促す
  • 少数意見を大切にする
  • 全員が発言する機会を設ける

具体的な言葉の例

“「〇〇さんはどう思いますか?」”

“「まだ発言していない人の意見も聞きたいです」”

“「少数意見かもしれませんが、大切な視点だと思います」”

4

共有リーダーシップを許容する

リーダーが全てを決めるのではなく、メンバーにも判断を委ねる

なぜ重要か

リーダーが全てを決めると、メンバーの自律性が失われ、成長機会も奪われる。メンバーに判断を委ねることで、自律性と有能感が高まる。

実践方法

  • 判断をメンバーに委ねる
  • 「あなたならどうする?」と問いかける
  • メンバーの判断を尊重する
  • 失敗しても責めない

具体的な言葉の例

“「この件は〇〇さんに判断してもらいたいです」”

“「あなたの判断を信頼しています」”

“「結果がどうであれ、あなたの判断を尊重します」”

5

多様性を前提として扱う

「みんな同じ」ではなく、「それぞれ違う」を前提にする

なぜ重要か

「みんな同じ」を前提にすると、少数派が声を上げにくくなる。「それぞれ違う」を前提にすることで、多様な視点が活かされる。

実践方法

  • 働き方の違いを認める
  • 価値観の違いを尊重する
  • 強みの違いを活かす
  • 「普通」を押し付けない

具体的な言葉の例

“「それぞれの働き方があっていいと思います」”

“「あなたの視点は私にはない発想で、とても参考になります」”

“「みんな違って、みんないい」”

明日の一手

まずは「①自分の不完全さを認める」から始めましょう。次回のミーティングで、あなたが今困っていることや分からないことを正直に話してみてください。リーダーが脆弱性を開示することで、メンバーも安心して本音を話せるようになります。

所要時間:5〜10分